足し直したら「1.3倍の超過」が「見積どおり」に変わった

制作中の自作アプリで、工程ごとに作業時間を記録しています。
その集計を足し直したら、結論が反転した話です。

目次

工程が終わった。1.3倍の超過に見えた

実績 16.05h に対して見積 12h。1.34倍の超過でした。
「次の工程の見積は上げるべきかな」と思いながら、内訳を眺めていました。

分類の記号が3通りの意味で使われていた

作業時間は4つに分けて記録しています。

中身
(a) 手順書の範囲内
(b) 手順書に無い作業
(c) 記録・撮影
(d) 着手のみ・未完

倍率の分母に入れるのは (a) だけ、と決めてあります。
手順書がどれだけ効いたかを測るための数字なので、予定外の調査や記録を混ぜると測れなくなる。

ログを読み返したら、(b) が3通りの意味で使われていました。

  • 「(b) 手順書に無い作業」(定義どおり)
  • 「(b) 範囲内・撮影」
  • 「(b) 範囲内・PR」

後ろの2つは定義では (c) と (a) に入るもの。ラベルだけが揃っていなかった。
中身は同じ。名前だけ違う。

寄せ直した。合計は1分も動かない

  • 合計は 16.05h のまま。1分も動いていません
  • 動いたのは (a) の値 = 倍率の分母
  • (a) = 11.45h。見積 12h に対して 0.95倍

結論が変わった

見え方 1.34倍の超過 手順書の範囲内は見積どおり
超過の中身 「時間がかかった」 予定外の作業が6件増えた(うち3件はバグの発見)

次の工程の見積を上げるべきか据え置くかが、ここで逆になります。

次の工程で、また分母を混ぜかけた

分類を寄せ直した次の工程で、同じことが形を変えて起きました。

完了報告に「(a) だけなら 1.32倍、全体なら 1.07倍。どちらを載せますか」と書かれていた。
手順書には「分母は (a) だけ」と明記してあります。選ぶ余地はありませんでした。

数字 見え方
(a) だけ 2.25h / 1.7h = 1.32倍 超過して見える
全体 3.2h / 3.0h = 1.07倍 ほぼ見積どおりに見える

都合よく見えるほうが、ルール違反のほうでした。

前の工程では分母を小さくしたら見積に収まった(1.34倍 → 0.95倍)。
今回は分母を大きくしたら収まって見えた方向は逆ですが、どちらも分母をいじっています。

間違いの信号が出ない

1.07倍という数字自体は、電卓を叩けば正しい。
検算では絶対に見つかりません。 見つけるには「この数字は何を測っているのか」を問い直すしかない。

だから決めた基準を、数字と同じ場所に書いておく必要があるんだと思いました。
手順書に書いてあっても、報告の紙面には分母の定義が載っていなかったので、
読む側は2つの数字を並べて見比べることになった。

落としどころ

合計が合っていても、内訳が壊れていることがある。
数字は合っていた。言葉が合っていなかった。

合計は何度も確認していました(原本と突き合わせて、食い違いも直した)。
でも内訳のラベルは誰も検算しない。数字ではなく言葉なので、間違っていても計算が合います。

  • 分類は同じ人が続けて書くと、途中から意味がずれる
  • 定義を1箇所に書いてあっても、書くときに毎回照らし合わせるわけではない
  • だから足し直す。合計ではなく、分類ごとに

ラベルを揺らしたのは作業した側ですが、
定義を1箇所に置いただけで運用が回ると思っていた設計のほうに問題があった、と今は思っています。

目次